ルーヴル美術館芸術勉強法

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「美は細部に宿る」

「美は細部に宿る」とは、「神は細部に宿るGod is in the details」の言い換えです。20世紀初頭のモダニズム建築の巨匠ミース・ファンデル・ローエはこの言葉を好んで使い、ディテールこそが作品の本質を決定し優れた芸術作品を生み出すと提言していました。長い西洋美術の歴史には、数々の美しいディテールをもつ作品があり、それらは有無を言わさず私たちの心を引き止めます。

ヤン・ファン・エイク、トリノ=ミラノ時祷書より「キリストの洗礼」(部分)、1420年頃、紙、装飾写本、5×20,3cm、トリノ、市立美術館

ヤン・ファン・エイク、ファン・デル・パーレの聖母(部分)、1436年、板、油彩、122,1×157,8cm、べルギー、ブリュージュ、市立グルーニンゲ美術館

ヤン・ファン・エイク、アルノルフィーニ夫妻の肖像(部分)、1434年、板、油彩、81,8×59,7cm、ロンドン、ナショナル・ギャラリー

ピエロ・デッラ・フランチェスカ、セニガリアの聖母(部分)、1470年代後半、板、テンペラ、油彩、61×53,5cm、ウルビーノ、国立マルケ美術館

ボッティチェリ、プリマヴェッラ春(部分)、1478年頃、板、テンペラ、203×314cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館

レオナルド・ダ・ヴィンチ、最後の晩餐(部分)、1495〜98年、壁画、テンペラ、420×910cm、ミラーノ、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院食堂

ミケランジェロ、ピエタ(部分)、1498〜1500年、大理石、高さ174cm、ヴァティカン、サン・ピエトロ大聖堂

ティツィアーノ、聖愛と俗愛(部分)、1515年頃、カンヴァス、油彩、118×279cm、ローマ、ボルゲーゼ美術館

カラヴァッジョ、エマオの晩餐(部分)、1601年頃、カンヴァス、油彩、141×196,2cm、ロンドン、ナショナル・ギャラリー

ディエゴ・ヴェラスケス、ラス・メニーナス(女官たち)(部分)、1657年頃、カンヴァス、油彩、318×276cm、マドリード、プラド美術館

レンブラント・ファン・レイン、ユダヤの花嫁(部分)、1663〜65年頃、カンヴァス、油彩、121,5×166,5cm、アムステルダム、国立美術館

ヨハネス・フェルメール、真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)(部分)、1665〜66年頃、カンヴァス、油彩、44,5×39cm、デン・ハーグ、マウリッツハイス美術館

フランシスコ・デ・ゴヤ、ボルドーのミルク売り娘(部分)、1825〜1827年、カンヴァス、油彩、74×68cm、マドリード、プラド美術館

クロード・モネ、黄色いアイリス(部分)、1924年、カンヴァス、油彩、98,9×83,1cm、パリ、マルモッタン美術館

パブロ・ピカソ、アヴィニョンの娘たち(部分)、1907年、カンヴァス、油彩、243,9×233,7cm、ニューヨーク、近代美術館

 

 

 

 

 

 

 

捉えがたい「世界」

優れた芸術は、捉えがたい「世界」をわれわれの目の前に差し出してくれます。爽やかな風が吹き抜ける緑なす田園を、うす雲がたなびく深遠な山々を、夕陽に赤く染まり刻々と姿を変える峰々を、樹々のざわめき、水のせせらぎ、自然の原初的な生気と官能的ともいうべき息吹を、様々な場所で様々な趣をした人々の表情や営みを、そして何よりも、超自然なものに注ぐ限りなく熱い想いを・・・自己と他者を取り巻くすべての森羅万象が凝縮されて、そこに「いのち」の営みが立ち現れている。優れた芸術は、「世界」への認識を一掴みにして、われわれの胸を震わせてくれるのです。

 

① 風景描写の中に

庭園図、第二様式、前20年頃、イタリア、プリマ・ポルタ、リヴィアの別荘出土、フレスコ、幅595cm、ローマ、国立博物館

 

ヨハネス・フェルメール、デルフト眺望、1660〜61年頃、カンヴァス、油彩、98,5×117,5cm、デン・ハーグ、マウリッツハイス美術館

 

ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー、ノラム城 日の出、1845年頃、カンヴァス、油彩、90,8×121,9cm、ロンドン、テート・ギャラリー

 

ポール・セザンヌ、サント・ヴォクトワール山とシャトー・ノワール、1904〜06年、油彩、カンヴァス、65,6×81cm、アメリカ合衆国、フィラデルフィア美術館

 

ファン・ゴッホ、花咲くアーモンドの木の枝、1890年、カンヴァス、油彩、73,3×92,4cm、アムステルダム、ゴッホ美術館

 

② もの言わぬ事物の中に

カラヴァッジョ、果物籠、1598〜99年頃、カンヴァス、油彩、46×64,5cm、ミラーノ、アンブロジアーナ絵画館

 

ファン・サンチェス・コターン、食用アザミのある静物、1603〜04年頃、カンヴァス、油彩、63×85cm、グラナダ美術館

 

フランシスコ・デ・スルバラン、レモン、オレンジ、茶碗、1633年、カンヴァス、油彩、60×107cm、アメリカ、パサデナ、ノートン・サイモン美術館

 

ジャン=シメオン・シャルダン、野苺の籠(木いちごの籠)、1761年、38×46cm、油彩、カンヴァス、個人蔵

 

ポール・セザンヌ、コンポートのある静物、1882年、油彩、カンヴァス、46cm×55cm、個人蔵

 

ヴィンセント・ファン・ゴッホ、古靴、1886年、カンヴァス、油彩、37,5×45cm、オランダ、ファン・ゴッホ美術館

 

③ 人間存在の中に

書記座像、第4あるいは第5王朝(前2600〜前2350年)、サッカラ、セラペウムのスフィンクス参道北出土、石灰岩の彫刻に彩色、目には象嵌細工、水晶、マグネサイト(炭酸マグネシウム)、ヒ素含有銅乳首、木、高さ53,7、幅44cm、奥行き35cm、パリ、ルーヴル美術館

 

ラファエッロ・サンティ、バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像(部分)、1514〜15年頃、板、油彩、82×67cm、パリ、ルーヴル美術館

 

ディエゴ・ヴェラスケス、矮人エル・プリモの肖像(部分)、1644〜45年、カンヴァス、油彩、107×82cm、マドリード、プラド美術館

 

レンブラント・ファン・レイン、34才の自画像(部分)、1640年、板、油彩、102×80cm、ロンドン、ナショナル・ギャラリー

 

ヴィンセント・ファン・ゴッホ、自画像(部分)、1889年、カンヴァス、油彩、65×54cm、パリ、オルセー美術館

 

パブロ・ピカソ、青の時代の自画像(部分)、1901〜1904年、パリ、ピカソ美術館

 

④ そして神々への畏敬の中に

デルフォイの御者(部分)、前478〜474年頃、ギリシア、デルフォイ出土、ブロンズ、高さ180cm、デルフォイ考古美術館

 

美しき絵ガラスの聖母(部分)、シャルトル大聖堂、内陣南側廊、1180年頃(?)、フランス

 

ジョット、キリスト伝:キリストの逮捕 (部分)、スクロヴェーニ礼拝堂壁画、1304〜05年、200×185cm、フレスコ、パドヴァ、スクロヴェーニ礼拝堂

 

フラ・アンジェリコ、リナイウオーリ祭壇画(部分)、1433〜35年頃、板、テンペラ、中央パネル233×133cm、両扉292×88cm、プレデッラ各39×56cm、フィレンツェ、サン・マルコ美術館

 

ピエロ・デッラ・フランチェスカ、復活のキリスト、1465年頃、壁画、フレスコ、225×200cm、サンセポルクロ、市立美術館

 

左 レオナルド・ダ・ヴィンチ、聖アンナと聖母子(部分)、1512年頃、板、油彩、168,5×130cm、パリ、ルーヴル美術館右 伝 郭熈筆、水墨画(部分)、北京、故宮博物館

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロマネスク美術

ひとりひとりのささやかで深い信仰、日々の糧に感謝し、黙々と祈りを捧げる毎日、華やかな権力に乗じて突き進む生活のかたわらに、つつましくけれども幸せな生活があったことを、ふとした風景が知らせてくれる。世界の情勢が緊迫度を増せば増すほど、心は失ってしまったものを恋い焦がれるように思います。

コンク、サント・フォア修道院聖堂、12世紀前半、フランス

 

神秘の粉挽き車、ヴェズレー、サント・マドレーヌ聖堂、南側廊柱頭、1120〜30年頃、フランス

 

眠るマギへのお告げ、オータン、サン・ラザール大聖堂、内陣柱頭、1120〜30年頃、フランス

レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ

レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ、二人の巨匠は「芸術対決」はもちろんのこと、「孤独さ対決」においても双璧かもしれません。
歴史の中で静かに語りかけてくる孤独な芸術行為に少しでも光をと思います。

レオナルド・ダ・ヴィンチ、自画像、1515年頃、紙、サンギーヌ、デッサン、33,3×21,3cm、トリノ、王立図書館

ミケランジェロ、ニコデモとしての自刻像、ドゥオーモのピエタ(部分)、1550〜55年、大理石、高さ226cm、フィレンツェ大聖堂美術館

レオナルド・ダ・ヴィンチ、女性の頭部(大天使ウリエル「岩窟の聖母」)、1483年頃、銀筆、紙に鉛白、デッサン、18,1×15,9cm、トリノ、王立図書館

ミケランジェロ、レダの顔の習作、1530年頃、紙、サンギーヌ、デッサン、35,6×27cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館デッサン・版画室

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