「美は細部に宿る」とは、「神は細部に宿るGod is in the details」の言い換えです。20世紀初頭のモダニズム建築の巨匠ミース・ファンデル・ローエはこの言葉を好んで使い、ディテールこそが作品の本質を決定し優れた芸術作品を生み出すと提言していました。長い西洋美術の歴史には、数々の美しいディテールをもつ作品があり、それらは有無を言わさず私たちの心を引き止めます。
「美は細部に宿る」とは、「神は細部に宿るGod is in the details」の言い換えです。20世紀初頭のモダニズム建築の巨匠ミース・ファンデル・ローエはこの言葉を好んで使い、ディテールこそが作品の本質を決定し優れた芸術作品を生み出すと提言していました。長い西洋美術の歴史には、数々の美しいディテールをもつ作品があり、それらは有無を言わさず私たちの心を引き止めます。
優れた芸術は、捉えがたい「世界」をわれわれの目の前に差し出してくれます。爽やかな風が吹き抜ける緑なす田園を、うす雲がたなびく深遠な山々を、夕陽に赤く染まり刻々と姿を変える峰々を、樹々のざわめき、水のせせらぎ、自然の原初的な生気と官能的ともいうべき息吹を、様々な場所で様々な趣をした人々の表情や営みを、そして何よりも、超自然なものに注ぐ限りなく熱い想いを・・・自己と他者を取り巻くすべての森羅万象が凝縮されて、そこに「いのち」の営みが立ち現れている。優れた芸術は、「世界」への認識を一掴みにして、われわれの胸を震わせてくれるのです。
① 風景描写の中に
② もの言わぬ事物の中に
③ 人間存在の中に
④ そして神々への畏敬の中に
ひとりひとりのささやかで深い信仰、日々の糧に感謝し、黙々と祈りを捧げる毎日、華やかな権力に乗じて突き進む生活のかたわらに、つつましくけれども幸せな生活があったことを、ふとした風景が知らせてくれる。世界の情勢が緊迫度を増せば増すほど、心は失ってしまったものを恋い焦がれるように思います。
レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ、二人の巨匠は「芸術対決」はもちろんのこと、「孤独さ対決」においても双璧かもしれません。
歴史の中で静かに語りかけてくる孤独な芸術行為に少しでも光をと思います。